昔は、オイルというとサラダオイルというボキャブラリーしか持っていませんでしたが、今やオイルについて語り始めたら、1晩中語ってしまう程になりました^^
昨今、女性誌などでも「オイル」の特集が組まれ、空前のオイルブームなのでしょう。
最近では「オイル=摂ったほうがいい」という知識やオメガ3・6・9などの存在と効果効能も一般常識となりつつあります。
ところが、いざ店頭でオイルを買って使おうとした時に、あれ?どうやって使えばいいの?どの位摂取すればいいの?
どれが熱に強くて、どれが弱いの?と迷ってしまう方が多いんじゃないかと思い、掘り下げてオイルについてまとめてみました。
少し熱くマニアックになってしまっている箇所もあるかもしれませんが、できるだけ分かりやすく書いていきますね。
脂肪酸って?
オイルには、「脂肪酸」というものが含まれています。
「オレイン酸」「リノール酸」「オメガ3系脂肪酸」などは脂肪酸の名前です。脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
脂肪酸を1言で説明すると『人間が生きていく上で必要なもの』です。
「脂肪」というだけで、極端に摂取しなくなると疲労、発育不良、皮膚炎など様々な生活習慣病の原因となりとても危険です。
とは言え、摂り過ぎれば肥満、動脈硬化などの原因にもなるので、バランス良く摂取することが大事です。
脂肪酸には大きく分けて飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸があり、不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けることができます。
それらをバランス良く摂取することで初めて健康な体を作ることができるわけです。
脂肪酸を摂取する上で理想的な割合は、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸が3:4:3。
多価不飽和脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸を比べると、理想的な割合は1:1~1:4と言われています。
どれか1つ欠けても体調を崩しやすくなるので、脂肪酸のバランスを取ることはとても大事です。
もう1つ注意したいのは、脂肪酸のバランスと同様に過度の酸化です。
酸化は必ず起こるものですので、通常それほど気にする必要はありませんが、揚げ物が終わった後の脂の使いまわしなどを頻繁に行うと酸化が極度に進行して栄養価が低下するだけでなく、過酸化脂質が発生しコラーゲンを破壊して老化現象の原因となったり、様々な病気の原因となります。
飽和脂肪酸
代表的なオイル
ココナッツオイル、バター、ラード、マーガリン、ショートニングなど。
特徴
基本的に油は熱に弱く、酸化しやすい性質を持っていますが、飽和脂肪酸は融点が高く熱に強いので、加熱料理に最適です。
また、炭素同士が単結合しているので、酸素に囲まれにくく、脂肪酸の中で一番酸化しにくいのも特徴です。
不足すると…
飽和脂肪酸が不足することは殆どないと思いますが、ごく稀に過度のダイエットによって不足する場合があるようです。
血管障害やホルモンバランスを崩しやすくなるので要注意です。
摂りすぎると…
飽和脂肪酸は常温で固まりやすいという性質があるため、血液の流れを悪くし悪玉コレステロール(LDL)を増やし、肥満や動脈硬化の原因となります。
おススメの飽和脂肪酸
脂肪を燃焼しやすい中鎖脂肪酸を多く含む、ヴァージンココナッツオイルがおススメです。
ココナッツオイルに含まれるラウリン酸が肌のシワやたるみの原因となる酸化作用を抑えて、アンチエイジング作用をサポートし、中鎖脂肪酸によるエネルギー消費によって脂肪がつきにくくなります。
ココナッツオイルの詳細については以前紹介しているので、是非読んでみてください!
※精製したココナッツオイルにはトランス脂肪酸が若干発生しますが、熱管理をした精製方法で作られているものは、人体への影響は軽微です。それほど神経質になる必要はないでしょう。
一価不飽和脂肪酸(オメガ9脂肪酸)
代表的なオイル
オリーブオイル、ひまわり油(オレイン酸含有量を多くした)、サフラワー油、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ油、パーム油など。
特徴
オレイン酸を代表とする一価不飽和脂肪酸は、善玉コレステロール(HDL)は減らさずに、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール(LDL)のみを減らすという特徴があります。
またオレイン酸は炭素の2重結合が1つだけなので、飽和脂肪酸よりはやや酸化しやすいものの、多価不飽和脂肪酸よりは酸化しにくいです。
不足すると…
通常不足することは考えづらいですが、やはり過度のダイエットが原因で肌がカサカサになり、肌荒れ原因となることも。
また、相対的に飽和脂肪酸の割合が多くなるため、動脈硬化等の生活習慣病にもつながります。
摂りすぎると…
悪玉コレステロール(LDL)を下げる良質油とは言え、過剰に取り過ぎれば栄養過多になり肥満の原因になります。
おススメの一価不飽和脂肪酸(オメガ9脂肪酸)
オレイン酸を豊富に含むヴァージンオリーブオイルがおススメです。
オレイン酸は悪玉コレステロール(LDL)を減らすだけでなく、皮膚を柔らかくする効果もあるので、滑らかでスベスベなお肌を維持することにも役立ちます。
加熱料理にも使えますが、やはりオレイン酸の効果を最大限引き出すためにもドレッシング等直接生でかけて使用するのがおススメですね。
多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)
代表的なオイル
ヘンプオイル、えごま油、アマニ油、シソ油、菜種油など
特徴
体内でつくることのできない必須脂肪酸であるαリノレン酸は様々なアレルギー症状を緩和し、脳や視力の回復、中性脂肪やコレステロール値を下げるDHAやEPAに変換されます。
ただし、αリノレン酸から変換されるDHAやEPAは代謝酵素であるデルタ5およびデルタ6脱飽和酵素の働きが弱いと代謝されづらいため、DHAやEPAを豊富に含む魚などから直接摂取することも必要です。
また、多価不飽和脂肪酸は炭素の2重結合が2つ以上なので、非常に酸化しやすいです。
不足すると…
相対的にオメガ6系の割合が高くなるため、コレステロール値が上がり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となったり、アレルギー症状が起こりやすくなります。
摂りすぎると…
普通の食生活ではオメガ3系の「摂り過ぎ」はまれですが、それでも摂り過ぎればカロリーオーバーとなって肥満の原因になることもあります。
おススメの多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)
アマニ油やヘンプオイルがおススメです。
特にヘンプオイルはオメガ6系とオメガ3系のバランスが人体にとって最適の状態なので、多価不飽和脂肪酸の良いとこどりです。
ヘンプの記事について以前紹介しているので、是非読んでみてください。
多価不飽和脂肪酸(オメガ6脂肪酸)
代表的なオイル
ヘンプオイル、綿実油、大豆油、コーン油、ごま油、アーモンド油など
特徴
必須脂肪酸であるリノール酸は悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を減らす効果があります。
また、女性特有の生理痛や生理前のイライラ、頭痛などの不快な症状を改善するγリノレン酸は、リノール酸から酵素(デルタ6脱飽和酵素)の働きでも変換されます。
不足すると…
現代の食生活でオメガ6脂肪酸が不足することはあまりないと思いますが、肌荒れや湿疹の原因になることもあります。
摂りすぎると…
悪玉コレステロール(LDL)だけでなく、善玉コレステロール(HDL)も下げてしまうため、動脈硬化やアレルギー症状の原因になります。
おススメの多価不飽和脂肪酸(オメガ6脂肪酸)
やはり多価不飽和脂肪酸はオメガ3系とオメガ6系のバランスが大事なので、ヘンプオイルがおススメです。
ヘンプ記事はこちらです。